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経営フレームワーク

SWOT分析は無駄?使い方を間違えると危険!戦略立案の「現在地」を知る正しい方法

桂 爽淳
桂 爽淳 |

砂漠で迷子になった一人の少年がいました。途方に暮れていたところ、一人の老人が現れ、親切にもオアシスの場所が記された「地図」と方角を示す「コンパス」を渡してくれました。

「これで助かる!」少年は喜んでオアシスを目指しましたが、残念ながら力尽きてしまいました。なぜでしょうか?

…それは、彼が自分の現在地を知らなかったからです。

これはビジネスの世界でも同じです。どれだけ優れた戦略(地図)や目標(コンパス)があっても、自社が今どこに立っているのか、どのような状況にあるのかを正確に把握していなければ、目的地にたどり着くことはできません。

この記事では、自社の「現在地」を正確に把握するための強力なツール「SWOT分析」の正しい使い方と、分析を成功に導くための重要な注意点について、プロの視点から解説します。


 

SWOT分析は戦略ではない?~誤解されがちなフレームワークの本質~

 

SWOT分析とは、自社の経営状況を客観的に把握するためのフレームワークです。企業の内部環境外部環境を、それぞれプラス要因マイナス要因に分けて分析します。

  • S (Strength) = 強み: 優れている自社内部の要素

  • W (Weakness) = 弱み: 劣っている自社内部の要素

  • O (Opportunity) = 機会: 自社にとって追い風となる外部環境の変化

  • T (Threat) = 脅威: 自社にとって向かい風となる外部環境の変化

ここで非常に重要な注意点があります。SWOT分析は戦略ではありません。あくまで、戦略を立てるための基礎となる情報を整理・可視化するツールです。この4つの項目を洗い出すことで、自社の置かれている状況、つまり「現在地」を客観的に知ることが、SWOT分析の本来の目的なのです。


 

正しいSWOT分析を進める3つのステップ

 

では、実際にどのようにSWOT分析を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、陥りがちな失敗を避け、効果的な分析を行うための3つのステップをご紹介します。

 

ステップ1:事実ベースで情報を集める(外部環境と内部環境)

 

分析の最大のポイントは「事実(ファクト)ベース」で情報を集めることです。「こうだったら良いな」という希望的観測や、「きっとこうだろう」という主観的な思い込みは排除し、客観的なデータに基づいて情報を収集しましょう。

  • 外部環境 (機会・脅威):

    • 新聞、業界ニュース、市場調査レポート

    • 政府の統計データ(例:国勢調査、経済センサス)

    • 競合他社のウェブサイトや決算情報

  • 内部環境 (強み・弱み):

    • 自社の財務諸表(売上推移、利益率など)

    • 顧客アンケートの結果、顧客からのクレーム件数

    • 従業員へのヒアリング、実態調査

 

ステップ2:4つの項目に分類する

 

集めた「事実」を、「強み(S)」「弱み(W)」「機会(O)」「脅威(T)」の4つの項目に分類していきます。この時、できるだけ多くの意見を出し合うことが大切です。経営層だけでなく、現場の社員も交えてブレインストーミングを行うと、より多角的な視点が得られます。

【分類の例:地方の小さなパン屋さん】

  • 強み(S):

    • オリジナルの天然酵母の使用

    • 創業50年の歴史

    • リピート率80%の看板商品がある

  • 弱み(W):

    • 店主一人での運営体制

    • Webサイトからの月間注文件数が5件以下

    • 駐車場が2台分しかない

  • 機会(O):

    • 半径1km圏内に300戸のマンションが来年完成予定

    • 県の観光客数が前年比10%増加

  • 脅威(T):

    • 駅から徒歩3分圏内に大手ベーカリーチェーンが出店

    • 小麦の仕入れ価格が過去2年で15%上昇

 


 

なぜあなたのSWOT分析は上手くいかないのか?

 

SWOT分析はシンプルですが、多くの企業が陥る落とし穴があります。それは、分析が「主観的」になってしまうことです。

自社のことだからこそ、「これは強みのはずだ」という思い込みや、「この弱みはあまり見たくない」といったバイアスがかかりがちです。その結果、事実からずれた分析となり、その後の戦略立案も間違った方向へ進んでしまう危険性があります。

では、どうすれば客観性を保てるのでしょうか?

最も効果的な方法の一つが、第三者の視点を取り入れることです。社内の人間だけでは気づけない「当たり前」に疑問を投げかけ、客観的な事実に基づいて分析をサポートしてくれる存在。それが、私たちのような中小企業診断士です。

プロのコンサルタントに「壁打ち」をすることで、自社の思い込みに気づき、より精度の高い現状分析を行うことができます。


 

まとめ

 

今回は、SWOT分析を正しく使いこなし、経営戦略に活かすためのポイントを解説しました。

  • SWOT分析は戦略ではなく、自社の「現在地」を事実ベースで把握するためのツールである。

  • 分析は「事実収集」「分類」のステップで、主観を排して行うことが重要。

  • 客観性を担保するためには、専門家である第三者の視点を取り入れることが非常に有効。

「自社でもSWOT分析を試してみたいが、客観的な分析ができるか不安だ」 「分析はしてみたものの、具体的な戦略にどう繋げればいいか分からない」

もしこのようにお考えでしたら、ぜひ一度、弊事務所「超律経営」にご相談ください。私たちは、貴社の成長をサポートするパートナーです。

初回のご相談(60分)は無料で承っております。まずは貴社の現状について、私たちに「壁打ち」してみませんか?お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。

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