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「事業計画なんて意味ない」は本当か?会社の未来を変える“生きた計画”の作り方

作成者: 桂 爽淳|Aug 20, 2025 1:13:20 AM

「時間と労力をかけて事業計画を作ったのに、結局、絵に描いた餅で終わってしまった…」

「日々の業務に追われ、計画通りに進まない。事業計画なんて意味ないのでは?」

中小企業の経営者や経営企画ご担当者様の中には、このように感じている方も少なくないのではないでしょうか。確かに、一度作ったきり見返されることのない事業計画書は、残念ながら意味があるとは言えません。

しかし、もしその事業計画が会社の未来を切り拓くための「羅針盤」になるとしたらどうでしょう?

この記事では、「事業計画は意味ない」という考えを一度リセットし、なぜ事業計画が重要なのか、そしてどうすれば「本当に使える」事業計画になるのかを、中小企業の経営に特化して分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、事業計画に対するイメージが180度変わり、自社の成長戦略を描くための具体的なヒントを得られるはずです。

 

なぜ「事業計画は意味ない」と感じてしまうのか?3つの落とし穴

 

多くの中小企業で事業計画が形骸化してしまうのには、共通する理由があります。まずは、その「意味ない」と感じてしまう原因から見ていきましょう。

 

1. 理想が高すぎて現実離れしている

 

「3年後に売上3倍!」といった壮大な目標を掲げること自体は素晴らしいことです。しかし、その目標に至るまでの具体的なステップや、必要なリソース(人、モノ、金)の裏付けがなければ、計画はただの「夢物語」で終わってしまいます。日々の業務との乖離が大きすぎると、社員の誰もが「どうせ達成できない」と考えるようになり、計画は忘れ去られていきます。

 

2. 作成そのものが目的化している

 

金融機関からの融資や補助金の申請のために、体裁を整えることだけを目的として事業計画を作成するケースです。この場合、審査を通過した途端に計画書は机の引き出しにしまわれ、二度と開かれることはありません。経営の道具としてではなく、一度きりの「提出物」として扱われるため、「意味ない」と感じるのは当然の結果と言えるでしょう。

 

3. 環境の変化に対応できていない

 

市場の動向、競合の出現、技術の進化など、ビジネスを取り巻く環境は目まぐるしく変化します。特に現代は変化のスピードが速く、1年前に立てた計画が、あっという間に時代遅れになることも珍しくありません。一度作ったら作りっぱなしで、定期的な見直しや修正が行われなければ、計画は現実とのズレを広げていくだけになってしまいます。

 

それでも事業計画が必要な3つの本当の理由

 

では、これらの落とし穴を回避すれば、事業計画はどのような価値をもたらすのでしょうか。中小企業にとって事業計画が持つ「本当の意味」を3つの側面から解説します。

 

1. 会社の進むべき道を示す「羅針盤」になる

 

事業計画の最も重要な役割は、会社のビジョンと目標を明確にし、そこへ至るまでの道筋を示すことです。航海に羅針盤がなければ目的地にたどり着けないように、経営にも明確な指針が必要です。

「私たちはどこを目指しているのか?」 「そのために、今、何をすべきなのか?」

この問いに対する答えが事業計画には詰まっています。経営判断に迷ったとき、進むべき道に立ち返ることができる強力な拠り所となるのです。

 

2. 社員の力を結集させる「共通言語」になる

 

経営者がどれだけ熱い想いを持っていても、それが社員に伝わらなければ組織は一丸となれません。事業計画は、会社の目標や戦略を全社員で共有するための「共通言語」としての役割を果たします。

自分の仕事が会社のどの目標にどう貢献しているのかを理解することで、社員一人ひとりのモチベーションは向上します。部門間の連携もスムーズになり、組織全体としての一体感が生まれるのです。

 

3. 資金調達や仲間集めの「武器」になる

 

金融機関からの融資や投資家からの出資を受ける際、事業計画は自社の将来性や信頼性を証明するための不可欠なツールです。客観的なデータに基づいた説得力のある計画は、強力な「武器」となります。

また、魅力的な事業計画は、優秀な人材を引きつける上でも大きな力を発揮します。「この会社で働きたい」「このビジョンを実現したい」と思わせるストーリーを描くことで、会社の成長を共に支えてくれる大切な仲間を集めることができるのです。

 

「意味のある」事業計画にするための3つのポイント

 

では、どうすれば「絵に描いた餅」で終わらない、生きた事業計画を作れるのでしょうか。明日から実践できる3つのポイントをご紹介します。

 

1. 「具体的」かつ「測定可能」な目標を立てる

 

「顧客満足度を上げる」といった曖昧な目標ではなく、「半年以内に顧客アンケートの平均スコアを4.0から4.5に向上させる」といった、誰が見ても達成度がわかる具体的な目標を設定しましょう。目標が具体的であればあるほど、取るべきアクションも明確になります。

 

2. 計画は「実行可能」なアクションプランに分解する

 

壮大な目標も、日々のタスクレベルまで分解すれば、現実的なアクションプランに変わります。「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を明確に定めましょう。そして、その進捗を定期的に確認するミーティングなどを設けることで、計画の実行性が格段に高まります。

 

3. 定期的に見直し、「変化に対応」する

 

事業計画は一度作ったら終わりではありません。最低でも四半期に一度、できれば月次で計画と実績の差異を確認し、計画を修正していくプロセスが重要です。市場や自社の状況に合わせて柔軟に計画をアップデートしていくことで、事業計画は常に「使える」状態を保つことができます。

 

まとめ

 

「事業計画は意味ない」という考えは、計画が形骸化してしまった経験から来るものかもしれません。しかし、会社の羅針盤として、社員の共通言語として、そして強力な武器として、正しく作られ、運用される事業計画は、中小企業の成長に不可欠な原動力となります。

大切なのは、完璧な計画を作ることではなく、実行可能で、変化に対応しながら見直し続ける「生きた計画」にすることです。

まずは自社の現状を客観的に見つめ直し、どこへ向かいたいのかを明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。もし、事業計画の策定や見直しでお困りのことがあれば、私たちT3のような専門家が、貴社の航海をサポートできるかもしれません。お気軽にご相談ください。